第14番 仁和寺
大内山(おおうちさん)仁和寺(にんなじ)
ご朱印
わけのぼる 花の嵐の 梢より おむろの山に 月ぞかがやく
家田荘子コラム 十四番 仁和寺
ドーン!と、荘厳な二王(におう)門を見上げ、まず(はぁ……大きい……)と、感嘆のため息をつきながら、二王門をくぐると、今度は広大な境内が、前方と左右に開けていて、また(はぁ……すごい……)と感嘆のため息がもれてしまいます。 大層立派な二王門は、14段の石段を登った高い所にあり、まるで時代劇映画を間近で見ているような気分です。仁和寺の二王門は、京都3大門の一つと言われています。 左右の逞しい松を眺めながら、玉砂利の上をザクザクと音をさせ、広くて長い参道を歩いて行きます。 前方正面、突き当りが国宝の金堂です。左手の勅使門をすぎます。この奥は、明治時代に再建された白書院や宸殿、黒書院、霊明殿などがあります。白書院には、福永晴帆の襖絵があり、宸殿の南北には、美しい白砂の庭が広がっています。勅使門をすぎると、右手に霊宝館。それから古くなってピンク色になった中門をくぐります。 中門の右側に持国天様、左側に多聞天様がいらっしゃいます。この中門を越えてすぐ左に御室桜の林が広がっています。高さ3メートルほどの御室桜が200本も植えられていて、名勝指定されています。御室桜は、根本が枝分かれしていて、4月中旬の遅咲き桜だそうです。御室桜林の先に重要文化財の観音堂、右側に、やはり重文の五重塔があります。五重塔は、高さ37メートル。徳川家光が寄進しました。 正面の金堂には、ご本尊・阿弥陀如来様がいらっしゃいます。本瓦茅葺入母屋造で、慶長18年(1613)に建てられた京都御所の紫宸殿を江戸初期に移したそうです。 金堂の手前にある納経所は、16時に閉まります。二王門近くの拝観受付の納経所は17時まで大丈夫です(11月~2月は16時までです)。 金堂でご本尊様にご挨拶をし、それから左に曲がって、鐘楼の方へ向かいます。鐘楼と、重文の御影堂の間を行くと、突き当りが、広大なお寺のわりに、簡素でこじんまりとした不動堂があり、やはり小柄な水掛不動明王様がいらっしゃいます。不動明王様のお家は、小造りですが、お寺があまりに大きく広いので、不動堂に来ると、身近に感じられ、ほっとします。身の丈1メートルほどの石仏立像の水掛け不動明王様は、一願不動とも呼ばれています。 「水かけ」というお名前ですが、水は掛けられません。水掛不動明王様の岩の下は、井戸です。この岩は、「菅公腰掛岩」という名前がつけられています。菅原道真公が、太宰府に向かう前に、仁和寺の開祖宇多法皇にご挨拶に来ました。ところが宇多法皇は、おつとめ中だったため、菅原道真公がこの岩に坐って、待っていたということです。 屋根はあるものの、厳しい冬でも風にさらされている不動明王様です。お参りしながら、(私も頑張ろう!)と、元気が湧いて来ます。 さて、不動明王様のお参りが終わったら、来た道を中門まで戻ります。中門をくぐって左側(五重塔側)に、喫茶、食事処「梵」の看板のある方へ行けば、東門が見えてきます。この東門を出て道を渡った先、仁和寺駐車場の隣が15番札所・蓮華寺です。 仁和寺の裏に成就山があります。3キロの山道に「御室88ヵ所」があり、約2時間で四国88ヵ所をお参りしたことになるそうです。もともとは、四国遍路をすることが難しい時代に、仁和寺29世門跡・済仁法親王の願いによって、四国88ヵ所のお砂を持ち帰り、裏山に埋めたその上にお堂を建てたことから始まったそうです。
近畿三十六不動尊霊場会先達・作家家田荘子寺院紹介
- 名称
- 大内山(おおうちさん)仁和寺(にんなじ)公式サイト
- 通称
- 御室(おむろ)
- 不動尊について
- 水掛け不動または一願不動と呼ばれ親しまれている。石仏立像、公開。
- 縁起
- 仁和2年(886)、58代光孝天皇が寺を開こうとするが、翌年、崩御される。仁和4年(888)に宇多天皇が、光孝天皇の意志を継いで開かれた。寺号も元号から仁和寺に変える。 応仁元年(1467)、応仁の乱の兵火で寺は焼失するが、無事に残られたご本尊・阿弥陀如来様は、仁和寺の院家だった真光院に移される。 160年後、仁和寺21世覚深法親王が、徳川3代将軍家光に再興を申し出、許可される。寛永11年(1634)、再建が始まる。12年後、正保3年(1646)、伽藍の再建が終了した。 明治20年(1887)、御殿を焼失するが、大正時代に再建された。 平成6年(1994)、世界遺産に登録される。
- 所在地
- 京都市右京区御室大内33
- 郵便番号
- 616-8092
- 電話番号
- 075-461-1155(代)
- 宗派
- 真言宗御室派
- 開山
- 第59代宇多天皇
- 創建
- 仁和4年(888)
- 詠歌
- わけのぼる 花の嵐の 梢より おむろの山に 月ぞかがやく
- 行事
-
- 1月1日~3日
- 修正会
- 1月6日
- 御室流華道生初式
- 1月7日、毎月21日
- 御影供(みえく)
- 2月3日
- 節分会
- 2月15日
- 常楽会
- 4月1日~5月第4日曜日
- 霊宝館特別公開
- 春秋彼岸の日
- 彼岸会
- 御室桜の開花期間中
- 桜まつり開催
- 4月18日
- 観音大祭
- 5月第2日曜日
- 御室流華道全国挿花大会
- 6月15日
- 宗祖弘法大師誕生会
- 9月8日
- 開山忌
- 10月1日~11月23日
- 霊宝館特別公開
- 特色
- 門跡寺院。御室流華道家元。御室桜の見頃は4月中旬。
- 交通 (地図はこちらをクリック)
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- 徒歩
-
- 京都駅から市バス26番、祇園から市バス10番で「御室仁和寺」下車。京都駅からバスは約45分。
- 京阪三条からは、市バス59番「御室」下車。バスを下りると、目の前が仁和寺。帰りのバスの本数もかなりある。
- 車・団体バス
- 名神高速道路京都南I・Cより国道1号線を北へ、九条で左折、西大路を右に折れ、西大路通りを北へ、一条通を西に進む。または金閣寺より観光道路(衣笠宇多野線)を西へ。有料駐車場完備。(普通車500円、大型バス1,000円)
- 休憩宿泊等
- 詳細は075-464-3664(御宝会館)
- 拝観
- 殿舎、庭園拝観、500円。
- 附近の名所旧跡
- 妙心寺、蓮華寺、広隆寺、龍安寺(りょうあんじ)、金閣寺等。
- 山主
- 門跡(もんぜき)第49代 南 揚道(みなみ ようどう)
- 寺紋
- 二引きに桜
- その他
- 春は御室桜、秋はもみじが素晴らしい。