22番 北向山 不動院
ご朱印
はるばると したいきたれる きたむきざん いままのあたり おがむうれしさ
家田荘子コラム 二十二番 不動院
新城南宮道の市バス「南宮東口」の停留所前に「北向山」と掲げられている赤い大きな山門があります。「北向不動尊」と書かれた赤い提灯もぶら下がっていて、京都っぽく、とても心魅かれる雰囲気のお寺が、ここ北向山 不動院です。 山門をくぐると、12支の守り本尊の石仏などが、大勢ズラリと安置されています。右は酒樽が並んでいて、神社とお寺をミックスしたような親しみの湧くお寺です。京都の鬼門にあるということで、身の引き締まる緊張感を覚えます。けれども、赤を基調とした彩りが、時に妖艶に時に華やかに、訪れる人の心をときめかせてくれます。 赤い山門から境内をまっすぐ歩いて行くと、本堂の赤い欄干より先に、不動明王様の後ろ姿が目に入って来ます。本堂の斜め前にあるのが、大護摩厳修道場です。こちらで紫燈護摩が厳修されます。特に1月16日は、創建当時から続いている「一願護摩」です。 本堂にも北向不動尊の赤い提灯がいっぱい吊るされています。本堂内の右側に「ご宝印所」と看板があり、ここが納経所です。靴を脱いで上がります。北向なので、このお寺は、冬に訪れると、とても寒いです。が、夏に訪れてもけっして涼しくなく、とても暑かったです。 納経を待っている間、本堂の中に入っていいと言われたので、初めて中に足を踏み入れました。その瞬間、もう感激と驚きで感嘆の声を上げてしまいました。なんてかっこいい! 古き時代を感じさせる本堂の内部。初めてです、こういう造りの本堂を見たのは! 本堂の中が凹型になっているのです。真ん中に階段が3段あって、その分だけ中央がへこんでいるのです。そのへこんでいる所に燈明台や、手洗い場があります。本堂の中にキッチンがあるような……。ものすごく古いですが、ものすごくかっこよくて、優しい温かな空気を感じます。一目で私は大大好きになりました。 「北向不動尊」と書かれた大きな赤提灯が3台ぶら下がっていて、これがまた昔のお寺の雰囲気をいっぱい出してくれています。まるで江戸時代にタイムスリップしたような気分に浸れます。 重要文化財の本尊は、一願不動明王様で、秘仏です。でも、秘仏のほんの近くで拝めるのです。嬉しいですね。こういう歴史を感じる、しかも鬼門を守って来られ続けた不動明王様と思うと、お会いできなくても、熱いパワーを感じずにはいられません。 おごそかで、昔からの本来のお寺をいっぱい感じさせてくれる本堂です。古さでいえば、本堂の前にある灯篭です。なんと「文政4年」に寄進された灯篭です。 本堂を出て右に護摩堂があります。こちらでは、一願の護摩が焚かれます。願いごとが叶うと古くから有名ですが、護摩の功徳の一つには、「過去の罪障をなくす」があります。また「先祖供養」もあります。 人は生きていれば、自分も気づかないうちに小さな罪を犯していることがあります。人は誰もが、仏様の種を持って生まれて来ますが、自分の心の中にいらっしゃる仏様が嫌がることを知らない間にしてしまっていることもあるのです。だから、護摩で罪障消滅を祈願しましょう。 護摩堂を右に曲がると薬師堂があります。さらに先には、滝行場があります。滝行場には、不動明王様と役行者様がいらっしゃいますが、現在、こちらの滝は、人が滝行をすることはできず、不動明王様と役行者様が滝行をされ続けています。 大護摩厳修道場の手前に、手水舎があり、ここの水は「洗心井戸」です。井戸から湧き出る水を洗心水と言うそうですが、嘉永2年から、参拝者や滝行をする前の行者さんの心身を清めたそうですから、昔は、滝行ができたのでしょう。 鳥羽離宮跡の一角にある不動院。お寺は、けっして大きい方ではないのに、「北向山の諸仏」として、12仏もいらっしゃいます。 ・大聖歓喜天 ・薬師如来 ・役行者 ・歯神地蔵(歯痛を治す) ・火頭烏枢沙摩(うすさま)明王 ・安産地蔵 ・延命地蔵 ・六体地蔵 ・山王大権現 ・陀枳尼天(だきにてん) ・五大力 ・水不動
近畿三十六不動尊霊場会先達・作家家田荘子寺院紹介
- 名称
- 北向山(きたむきざん)不動院(ふどういん)
- 通称
- 北向のお不動さん。
- 不動尊について
- 重要文化財で秘仏であるが、1月16日の護摩の時のみ開扉。
- 縁起
- 大治5年(1130年)鳥羽上皇が難治のご病気になられ、鳥羽離宮内で覚鑁上人興教大師がお加持をされた。すると、お加持の満願の日に鳥羽上皇の夢枕にお不動明王様が御出現された。そのお姿は右足の結跏趺坐を解き給い、まさに今、定より立ち給うてお救いくださろうというお姿であった。そのお姿を拝されてから快癒された上皇は、興教大師に勅され、鳥羽離宮内にお堂を立てられ、先の夢枕に御出現された右足を垂れられたお姿のお不動明王様を、都を守護するために北向きに祭り給うた。これが北向山不動院である。
- 所在地
- 京都市伏見区竹田浄菩提院町61
- 郵便番号
- 612-8445
- 電話番号
- 075-601-4588
- 宗派
- 単立寺院(天台宗系)
- 開山
- 興教大師(こうきょうだいし)
- 創建
- 大治5年(1130)
- 詠歌
- はるばると したいきたれる きたむきざん いままのあたり おがむうれしさ
- 行事
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- 1月16日
- 御開扉特別加持祈祷、採灯大護摩供厳修。(当日は開創鳥羽天皇の誕生日であり、開運ぜんざいの接待もある)。
- 2月節分の日
- 星祭採灯大護摩供
- 5月16日
- 山王祭
- 毎月3日、16日、28日
- 御縁日。午前10時30分より護摩堂で護摩供が厳修されます。
- 特色
- 般若心経(はんにゃしんぎょう)の写経の納経。
- 交通(地図はこちらをクリック)
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- 徒歩
- 近鉄竹田駅の南口(又は西口)を出て南(左)に200mほどでセブンイレブンがある。そのまま南へ行くと、大通り(新城南宮道)のT字路があるので、それを西(右)へ、道路北側を焼く200mほど進む。バス停近くの鉄製赤門が見えてきたら、それが北向山不動院山門(南門)。又は、先ほどのセブンイレブンで右折(西へ)し、そのまままっすぐ安楽寿院内を通り抜けて、さらに西へ進みマンション前をさらに進むと本院東門に至る。駅から徒歩でおよそ7~9分
- 車・団体バス
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- 国道1号線京都南インターのところから、名神高速道路沿いに東へ200mすすみ南へ300m。
- または国道24号線竹田出橋交差点から西へ300mまたは新堀川通り城南宮道交差点東に入りすぐ。
- 拝観
- 本尊は秘仏で重要文化財ですが、1月16日の護摩の時のみ開扉。
- 附近の名所旧跡
- 白河天皇陵、鳥羽天皇陵、近衛天皇陵、城南宮、当院も含めて鳥羽離宮跡にて、付近には洛南史跡多数。
- 山主
- 住職「南面(なんめん)和雄(わゆう)」
- 特産
- 附近は伏見の銘酒の産地。伏見人形。
- その他
- 三天皇陵に囲まれ、静かで四季いろいろの趣あり。