第28番 成田山 明王院
成田山大阪別院(なりたさんおおさかべついん)明王院(みょうおういん)
ご朱印
あらたなる 不動の利益 諸人の ねがひをここに 香里のみやま
家田荘子コラム 二十八番 明王院
赤い山門をくぐると、圧倒されそうな広大な境内が広がっています。大きな楠木の遠く向こうには、寝屋川市の町、その遥か先には、はちぶせ山が見えています。こちらが「成田山明王院」千葉にある成田山新勝寺の別院です。市制35周年記念で寝屋川八景に指定されています。 さすが成田山!祈願寺の迫力を感じます。石の階段を数段上がり山門をくぐると正面に朱色の本堂が見えます。山門も本堂も朱色なのは、護摩の炎を表しているのです。 右の大きな建物は、祈祷殿です。その祈祷殿と併設されているのが諸々の祈願の総受付です。祈祷殿は、日本で初めて作られた交通安全専用のお堂です。ドライバーと共に一度に100台の車を祈願できるそうです。朝7時20分~夕方4時50分まで毎時20分と50分にお車の交通安全の祈願が行われているので、境内は常に、祈願のお経や太鼓で、はなやいでいます。 お正月三ヶ日だけで2万台、年間20万台もの車が祈祷を受け、安全を守られているそうです。そのため、お正月は、前のバス通りが全面一方通行になるそうです。 本堂に向かって歩いて行くと、左手に笑(しょう)魂(こん)塚(づか)があります。お笑い芸人さんの慰霊の碑です。毎年8月15日は、笑魂祭の柴灯大護摩供と盆踊大会が開かれます。笑魂塚の左には鐘楼。大きな楠木が枝を張る階段を登った先が本堂ですが、まず階段を登ってすぐ左に小さなお堂があります。お餅を供えてあります。無料の線香「太っ腹線香」をいただける所で、なぜお餅が? と、私はその意味が考えても判らなかったのですが、太っ腹線香を「お心もち(・・)」という意味だったのです。 その太っ腹お堂の後ろには、隠れるようにしてお百度石があり、実はパワフルな剣不動様もいらっしゃいます。お見逃しなく。 線香立てから11段ほど階段を登り、本堂に到着します。赤、紫、黄、黒、白、緑、茶……7色に彩られた本堂の欄干絵図には、きれいな龍と鳳凰がいます。 靴を脱いで本堂内に自由に入ることができます。本堂では、7時30分、9時30分、11時30分、13時30分、15時30分と1日に5回、開運厄除、諸願成就のためのお護摩祈祷が僧侶によって厳修されます。 本堂の正面に「成田山」と大看板があり、扉は緑と黒と赤。中央の須弥壇も赤で、(成田山って、やっぱり凄い!!)思わず深く息を吸い込んでいました。 境内に入った時にも広大で圧倒されましたが、本堂の中も、威厳のある迫力で、護摩の太鼓を聞いていると、悪いことが飛んで逃げて行くようなパワーを体感します。 中央の座像の不動明王様。嵯峨天皇の勅願により弘法大師空海上人が敬刻して開眼をされた成田山新勝寺のご本尊のご分霊だそうです。そのご本尊の脇に両童子。さらに向かって右には金剛夜叉明王様と降三世明王様。左に軍茶利明王様と大威徳明王様の五大明王様が。護摩の炎と一緒に迫ってくる勢いです。 本堂の右には、お守りやおみくじなどの授札堂があります。「魔除利剣守」という、いかにも効きそうな、かっこいいお守もあります。そこから9段階段 を下りた先、左手に大師堂があります。前には修行大師がいらっしゃいます。本堂の後ろには、大黒天様と出世稲荷様がいらっしゃいます。さらに奥には、 奥の院(7時~15時)と滝行場があります。奥之院には12支にあたる8体仏様 が安置されています。 目を魅くのは、本堂から下りてすぐ右です。大勢の仏様がズラーッと並んでいらっしゃるのです。まず観音様から始まり、子好地蔵様、それから昭和23年(1948)お寺から西北数百メートルの所で発見された畠山義里のお墓もあり、その隣には、鬼門除けの疫病神、そしてなんと「貧乏神」を退治する鐘馗(しょうき)大臣(だいじん) という神様まで、仏様方に挟まれていらっしゃるのです。それから融通地蔵様、厄除地蔵様、子育地蔵様、……お地蔵様といっても、それぞれ豊かな個性がおありなのですね。 なお本堂に向かって左側、8段ほどの階段を下りた所には「新四国88カ所霊場お砂踏み」があり、88カ所のご本尊のお姿が祀られています。こちらでお参りすれば、四国88カ所を一巡したことになってしまえるのです。 大阪成田山が特に美しいのは、桜とツツジの季節です。赤と緑の門が、さらに映える季節です。大阪成田山では、太鼓と共にはなやかな祈願だけでなく、 静かに阿字観瞑想会や写経会も行われています。また、御詠歌講習会も毎月開かれています。
近畿三十六不動尊霊場会先達・作家 家田荘子寺院紹介
- 名称
- 成田山大阪別院(なりたさんおおさかべついん)明王院(みょうおういん)公式サイト
- 通称
- 成田山不動尊、成田のお不動さん。
- 不動尊について
- 木造座像、黒漆塗(大本山成田山新勝寺の御本尊ご分霊)。
- 縁起
- 平安時代の天慶(てんぎょう)2年(939)平将門が反乱を起こすと、朱雀(すざく)天皇の平将門の乱平定と、国家安穏の祈願という密勅を受け、寛潮(かんちょう)大僧正が、弘法大師空海上人敬刻のご本尊と共に関東へ行き、「国家安穏将門降伏」の護摩法が修されたのが起源とされる。その不動明王様は、成田山新勝寺に安置され、大阪成田山は、ご本尊の分霊を勧請された不動明王である。 成田山明王院は大正時代、大阪千日前にあったが、昭和9年、大阪市内から裏鬼門(南西)に位置し、京都からは表鬼門に当たる寝屋川市に移転した。
- 所在地
- 大阪府寝屋川市成田西町10-1
- 郵便番号
- 572-8528
- 電話番号
- 072-833-8881(代)、072-833-8885(テレフォンガイド)
- 宗派
- 真言宗智山派
- 開山
- 荒木照定(千葉県成田市成田、大本山成田山新勝寺中興第18世)
- 創建
- 昭和9年(1934)
- 詠歌
- あらたなる 不動の利益 諸人の ねがひをここに 香里のみやま
- 行事
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- 1月1日~5日
- 天国宝剣特別加持
- 1月1日~15日
- 新年特別大護摩供
- 1月1日~31日
- 交通安全特別祈願祭
- 1月28日
- 初不動
- 2月節分の日
- 交通安全、豆まき式(1日3回)
- 2月5日~28日
- 厄除け祈願大祭
- 4月8日
- 花祭り
- 8月15日
- 笑魂まつり、盆躍り大会
- 10月15日
- 開創記念大祭
- 11月中
- 七五三まいり
- 12月28日
- 納不動紫灯護摩
- 特色
- 諸願成就の祈願寺。なかでも交通安全祈願は、日本で初めて人車一体の祈願を行った寺院として有名で、年間約20万台の祈祷車が参拝される。また、災難・厄除けにご利益のあるお不動様として、2月の厄除け祈願祭の時期には約5000人もの厄除け祈願参拝者でにぎわう。
- 交通
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- 徒歩
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- 京阪電車「香里園駅」(特急は通過)下車、京阪バス3のりばより、三井団地行、寝屋川市駅行、仁和寺行に乗車(約5分)、「成田山不動尊前」下車すぐ。
- 香里園駅よりタクシーあり。駅より歩いて15分。
- 順路
- 京阪電鉄香里園(こうりえん)下車。京阪バス①番乗り場「三井泰団地行、寝屋川市駅行、ビバモール行」(22、24B、25、25B、1時間に平均5本)に乗り約5分、¥230。 歩いても近い。約15分。香里園駅東口を出て信号を渡る。タワーマンション横の細い坂道を上がると電柱に成田山への案内表示が見つかる。以後、その成田山案内がずっとあるので、迷うことなく歩いて行ける。途中、左手、静照寺の前を通る。 案内に従って大きな道に合流すると、右に坂を上がる。大阪にしては歩きタバコの人を全く見かけず、路上にタバコの吸い殻も見かけず、きれいな町中を進んで行くと、左に金の五鈷杵のある地蔵寺をすぎる。その先、下り坂になり「ラーク、ラーク動物病院」をすぎてから信号を右折する。バス通りだが、車の往来がかなりあり、特に成田山明王院前の道は狭い。「成田山不動尊北」の信号と、「成田山不動尊前」の信号と成田山明王院の前に二つも交差点があるくらい大きなお寺で、どちらの交差点から入っても、朱の山門に到着する。
- 車・団体バス
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- 大阪方面からは、寝屋川市内国道170号線「木屋(こや)南交差点」を左折(東方向)し、ダイエー前を通過し、「成田山境橋交差点」を左折、約1km進むと左側に見える。(阪神高速守口線終点から約6km)
- 京都方面からは、寝屋川市内国道170号線「木屋(こや)南交差点」を左折(東方向)し、あとは大阪方面からの順路に同じ。(第2京阪道「枚方東IC」から約12km)
- 境内に無料駐車場完備(300台)
- 休憩宿泊等
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- 茶室、客殿(吉祥閣)は予約が必要。
- 信徒休憩所「やすらぎ」は7時から17時まで随意使用可、但し団体は予約が必要、宿泊不可。
- 拝観
- なし。
- 附近の名所旧跡
- 茨田堤の跡、高宮廃寺跡、石の宝殿、お伽(とぎ)草紙二十三篇の一つ、鉢かつぎ草紙発祥の地(寝屋)。
- 山主
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- 大本山成田山新勝寺
- 貫首(かんす)「橋本(はしもと)照稔(しょうじん)」
- 成田山大阪別院明王院
- 主監(しゅかん)「飯島(いいじま)照輝(しょうき)
- 成田山不動尊ホームページ
- http://www.osaka-naritasan.or.jp/